飲み込みにくさに気づいても、どこに行けばいいのか分かりにくいものです。内科か、耳鼻科か、それとも歯科か。ここでは、相談先の探し方と、全国の対応施設を検索できる公的な仕組みをご紹介します。
この記事のポイント
飲み込みにくさの相談先は、まず、ふだん診てもらっているかかりつけの医師です。経過や服用中の薬を踏まえて、必要な科へ紹介してもらえます。
- 耳鼻いんこう科、歯科、言語聴覚士など、複数の職種が関わります
- 対応施設は「摂食嚥下関連医療資源マップ」で探せます
- 地域包括支援センターでも、無料で相談できます
まずは、かかりつけの医師に
入口はここです。ふだん診てもらっている医師であれば、これまでの経過や服用中の薬を把握しています。飲み込みにくさの背景には、脳卒中の後遺症、神経や筋肉の病気、加齢による変化、薬の影響など、さまざまな原因があります1。それを踏まえて、必要な科へ紹介してもらえます。
「最近むせるようになった」と伝えるだけで構いません。専門的な言葉は要りません。
関わる専門職は、ひとつではありません
摂食嚥下の分野は、複数の職種が関わります。どこか一箇所に行けば完結する、という性質のものではありません。
- 耳鼻いんこう科喉や声帯の状態を診ます。嚥下内視鏡検査を行うことがあります1。
- リハビリテーション科飲み込みの機能を評価し、訓練の計画を立てます1。
- 歯科・歯科口腔外科噛む力、義歯の適合、口の中の環境。飲み込みの前段階を支えます。
- 言語聴覚士(ST)飲み込みの評価と訓練を担う専門職。食事形態や姿勢の助言も行います。
- 管理栄養士必要な栄養を、食べられる形で届けるための献立を考えます。
誰に相談すればよいかは、原因や状態によって変わります。だから最初の一歩は、振り分けてもらうこと。かかりつけ医が起点になるのは、そのためです。
全国の対応施設を検索できます
厚生労働科学研究の成果として公開されている「摂食嚥下関連医療資源マップ」があります。
飲み込みの機能が低下した方に対応できる医療機関・歯科医院・飲食店を、地図上で全国から探せる仕組みです。誰でも登録なしで利用できます。
飲食店まで載っているのが、この仕組みの特徴です。治療の場だけでなく、外食という楽しみの側も対象にしている。そういう視点で作られています。
通院が難しいときは
本人が出かけられない場合もあります。その場合は、来てもらう方法があります。
訪問歯科
歯科医師や歯科衛生士が自宅や施設を訪問します。噛む力や義歯、口の中の清潔は、飲み込みに直結します。上記のマップでも歯科医院を検索できます。
訪問リハビリ・訪問看護
言語聴覚士が訪問して、評価や訓練を行う場合があります。対応できる事業所は地域によって差があるため、次に挙げる窓口で相談するのが確実です。
地域包括支援センター
市区町村が設置している、高齢の方とご家族のための総合相談窓口です。相談は無料で、介護保険の申請、地域のサービス、訪問診療や訪問リハビリの事業所探しなど、幅広く扱っています。
「お住まいの市区町村名+地域包括支援センター」で検索すると、担当のセンターが分かります。医療機関に行く前でも、行った後でも相談できます。
介護保険をまだ使っていない段階でも相談できるのが、この窓口の使いやすいところです。
どこに相談する場合も、気づいたことを書き留めて持っていくと話が早く進みます。いつ頃から、何でむせるか、食事にかかる時間、体重の変化、発熱の回数。
「なんとなく食べにくそう」だけでは、専門職も手がかりを持てません。具体的な記録が、判断の材料になります。記録のとり方は「家族が気づくサイン」でも紹介しています。
ひとつ、覚えておいていただきたいこと
飲み込みの評価は、外から見て分かるものではありません。実際に嚥下内視鏡検査や嚥下造影検査といった評価を行って、はじめて状態が見えてきます1。
「様子を見ましょう」で長く待つより、一度きちんと評価を受けたほうが、結果的に本人の食べられるものが増えることがあります。
パーキンソン病やALSのような神経の病気が背景にある場合は、その病気の主治医が入口になります。それぞれの飲み込みにくさは「パーキンソン病と飲み込み」と「ALSと食事の工夫」にまとめています。
気になることがあれば、どうぞ早めにご相談ください。
よくある質問
地域包括支援センターには、何を相談できますか?
地域包括支援センターは、市区町村が設置している、高齢の方とご家族のための総合相談窓口です。相談は無料で、介護保険の申請、地域のサービス、訪問診療や訪問リハビリの事業所探しなど、幅広く扱っています。介護保険をまだ使っていない段階でも相談できます。担当のセンターは、「お住まいの市区町村名+地域包括支援センター」で検索すると分かります。
飲み込みの相談ができる病院や歯科は、どう探せばいいですか?
厚生労働科学研究の成果として公開されている「摂食嚥下関連医療資源マップ」で、全国から探せます。飲み込みの機能が低下した方に対応できる医療機関・歯科医院・飲食店を、地図上で検索できる仕組みです。誰でも登録なしで利用できます。
本人が通院できないときは、どうすればいいですか?
自宅や施設に来てもらう方法があります。訪問歯科では、歯科医師や歯科衛生士が自宅や施設を訪問します。訪問リハビリや訪問看護で、言語聴覚士が訪問して評価や訓練を行う場合もあります。対応できる事業所は地域によって差があるため、地域包括支援センターで相談するのが確実です。
言語聴覚士(ST)とは、どんな専門職ですか?
飲み込みの評価と訓練を担う専門職です。食事の形態や、食べるときの姿勢についての助言も行います。訪問して、評価や訓練を行う場合もあります。どの職種に相談するかは状態によって変わるため、まずはかかりつけの医師にご相談ください。
飲み込みにくさは、様子を見ていても大丈夫ですか?
ご家庭で判断するのは難しいものです。飲み込みの状態は外から見て分かるものではなく、嚥下内視鏡検査や嚥下造影検査といった評価を行って、はじめて見えてきます。気になる変化があれば、長く様子を見るより、早めにかかりつけの医師にご相談ください。
※ 本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、診断・治療に関する助言ではありません。ご紹介した窓口やサービスの内容・利用条件は地域や時期によって異なります。詳細は各機関にご確認ください。
出典
- 国立長寿医療研究センター「摂食嚥下障害」
https://www.ncgg.go.jp/hospital/Swallowing_and_Continence/dysphagia/ - 摂食嚥下関連医療資源マップ(厚生労働科学研究「高齢者の摂食嚥下・栄養に関する地域包括的ケアについての研究」)
https://swallowing.link/